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日外会誌. 120(6): 639-645, 2019


特集

外科医とがん登録―NCDから見えてきたわが国のがん治療の実態―

3.乳がん登録

1) 聖隷横浜病院 乳腺センター
2) 東海大学医学部客員教授 
3) 東京大学大学院 医学系研究科医療品質評価学講座
4) 帝京大学医学部 外科学

徳田 裕1)2) , 隈丸 拓3) , 神野 浩光4)

内容要旨
1975年より乳癌研究会の事業として開始された乳がん登録は,2004年にweb登録システムに移行し,2011年までに255,519例が登録された.2012年1月1日よりNCD(National Clinical Database)登録と合体し,NCD乳がん登録となった.その結果,登録症例数は,著明に増加し,本邦の乳がん罹患数の80%以上をカバーするがん登録となった.また,2004年から2011年の登録症例の93%がNCD乳がん登録に移管された.しかも,5年予後調査結果も登録されており,NCD移管後も引き続き5年,10年の予後登録,解析が可能なシステムとなっている.現時点での5年予後調査回答率は,2004年75%,2012年61%であり,2004年の10年予後は,56%である.2016年全国がん登録が開始され,2016年の罹患数合計値による本登録のカバー率は84%であった.
本稿では,NCDシステムでの乳がん登録の現状を紹介するとともに,Quality Indicator(医療の質指標:QI)の実施率によるわが国の乳がん治療の実態を明らかにする.さらにビッグデータの予後解析を用いた臨床研究の成果を紹介する.

キーワード
NCD, 乳がん登録, データベース, quality indicator, ガイドライン


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