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書誌情報]
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日外会誌. 91(1): 36-46, 1990
原著
Double staining 法による胃癌所属リンパ節リンパ球の機能的サブセットの解析
I.内容要旨胃癌所属リンパ節リンパ球の免疫学的抗腫瘍能を検索する目的で,T細胞およびNK細胞に対する数種のモノクローナル抗体と蛍光抗体法を組合わせたdouble staining法を凍結組織切片上で行い,各種免疫担当細胞サブセットの分布動態を検討した.
double stainingは次の組合わせで行った.OKT8(以下CD8)とLeu15(以下CD11b),Leu3a(以下CD4)とLeu8の組合わせでT細胞系のより詳細な機能的サブセットの分布を,CD8とOKT9,CD8とOKIa1,CD4とOKT9,CD4とOKIa1の組合わせで活性化T細胞の分布を観察検討した.また,Leu7とLeu11c(以下CD16)の組合わせで異なるNK活性をもったNK細胞の分布をみた.
対象は転移陰性リンパ節を用いて,インターロイキン-2(以下IL-2)あるいらOK-432を術前,経内視鏡的に腫瘍内局所投与した2群と,非局注群に分け,転移陽性リンパ節群,対照群(良性疾患)の各群について比較検討した.
CD8
+細胞のうちCD11b
+細胞(サプレッサーT細胞)はわずかで,ほとんどがCD11b
-であり細胞障害性T細胞と判定された.また,各群の間に差はみられなかった.
CD4
+細胞のうちLeu8
+細胞(サプレッサー・インデューサーT細胞)とLeu8
-細胞(ヘルパーT細胞)はほぼ同数で,互いに混在して認められた.OK-432局注群でCD4
+Leu8
-/CD4
+の比率に増加傾向がみられた.
CD8
+細胞あるいはCD4
+細胞に占めるOKT9
+あるいはOKIa1
+の活性化T細胞の比率は数%以下で,少数であった.IL-2局注群でCD4
+OKT9
+/CD4
+の比率に,OK-432局注群でCD4
+OKIa1
+/CD4
+の比率に増加傾向がみられた.また,転移陽性群でCD4
+OKIa1
+/CD4
+の比率に増加がみられた.
Leu7とCD16のdouble stainingではLeu7
+CD16
+細胞は認められず,一部の転移巣内にNK活性が強いとされるLeu7
-CD16
+細胞がみられた.
以上より,胃癌所属リンパ節は潜在的抗腫瘍能を保持しているが,十分にその機能を発揮していないものと考えられた.
また,IL-2あるいはOK-432の術前腫瘍内投与はCD4
+細胞の活性化を誘導することが示唆された.
キーワード
胃癌所属リンパ節, 免疫組織学, モノクローナル抗体, 蛍光抗体法, double staining 法
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