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日外会誌. 91(5): 581-587, 1990


原著

ラットを用いた DMH 誘発実験大腸癌の増大速度

1) 昭和大学 医学部外科(指導教官:小池 正教授)
2) 昭和大学 医学部第2病理

角田 明良 , 渋沢 三喜1) , 滝本 雅文2)

(1989年6月13日受付)

I.内容要旨
DMH誘発実験大腸癌を作製し,経時的注腸X線検査により大腸癌の増大速度について検討した.注腸X線検査による体積の評価が経時的に3回以上可能であった39個の腫瘍の増大曲線は指数曲線に類似していた.また体積の評価が経時的に4回以上可能であった20個の腫瘍の体積倍加時間の平均値は,20±5(m±S.D.)日であり,体積倍加時間の偏差は比較的小さかった.一方,観察期間における腫瘍増大速度の経時的変動をみると3つの型が認められた.すなわち,増大速度が一定の定速型,増大速度が漸減する減速型,増大速度が一時減速するものの再度加速する再加速型の3つである.経時的注腸X線検査は,DMH誘発実験大腸癌における腫瘍の増大速度をみるのに有用な方法であると共に,今後前述の腫瘍増大パターンを利用した制癌剤効果の新しい判定法の試みが期待できると思われる.

キーワード
1,2-Dimethylhydrazine, 実験大腸癌, 体積倍加時間, 注腸 X 線検査


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