[書誌情報] [全文PDF] (1840KB) [会員限定・要二段階認証]

日外会誌. 91(5): 588-593, 1990


原著

原発性肝癌における PIVKA-II 測定の臨床的意義
ーα-フェトプロテインとの比較検討ー

大阪大学 医学部第2外科

左近 賢人 , 門田 守人 , 後藤 満一 , 金井 俊雄 , 梅下 浩司 , 遠藤 和喜雄 , 森 武貞

(1989年5月23日受付)

I.内容要旨
肝細胞癌患者(60例)で癌の治療及び進展に伴うPIVKA-II(Protein Induced by Vitamin K Absence or Antagonist-II)の変化を検討した.血漿PIVKA-II値の変化から判定した陽性率は58.4%(35/60例)と従来の1回の測定値に基づいた結果とほぼ同じであった.またPIVKA-IIは血清α-フェトプロテイン正常例の61.9%(13/21例)で高く,その陽性率は全症例のそれとほぼ同率であった.PIVKA-IIはα-フェトプロテインと同様に手術や肝動脈塞栓療法後に低下し,また腫瘍の再発,進展により増加した.さらにα-フェトプロテインに比べPIVKA-IIでは合併する慢性肝炎や肝硬変による非特異的な増加は稀であった.PIVKA-IIとα-フェトプロテインが共に高値の18例で癌の進展や治療における両腫瘍マーカーの変化間に相関関係(R=0.91)が見られた.以上のことから,PIVKA-IIの測定は肝細胞癌の診断ぼかりでなく腫瘍の進展や治療効果のモニタリングにも有用であると考えられた.

キーワード
肝細胞癌, PIVKA-II, α-フェトプロテイン, ビタミン K


<< 前の論文へ次の論文へ >>

PDFを閲覧するためには Adobe Reader が必要です。