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書誌情報]
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日外会誌. 82(12): 1485-1491, 1981
原著
実験的小腸全摘後の再建法
-逆蠕動胃管の有効性について-
I.内容要旨小腸全摘後の再建法として逆蠕動胃管を用いることを考えた.本法の有効性を実証する目的で実験を行つた. 胃管を用いない群(A群)と大弯側で作製された胃管を逆蠕動に吻合した群(B群)に分けた.下痢の回数,総蛋白質量,総コレステロール値, 血清ガストリン値,血清グルカゴン値を測定した.10gm糖経口負荷テストを行つて,血糖値, I.R.I.値の推移を検討した.術後1カ月後に胃,十 二指腸,膵の一部を切除し,組織学的検索を行つた.以上の検索を通じて以下の結果を得た.
1) A群での3カ月以上生存数は10頭中3頭,B群では10頭中4頭であつた.
2) 下痢の回数はA,B群とも7日目までは差はないが,それ以降になると,B群で下痢の回数は 著減した.
3) 血清総蛋白質量は両群で低下を示すが, B群ではA群より高い値を保持した.
4) 血清コレステロール値は1週間目までは両群で低下したが,それ以後はやや低値を保持した.
5) 血清ガストリン値は両群とも差がなく, 一過性の上昇を除いて,安定した値を示した.
6) 血清グルカゴン値は両群とも低値となつた.
7) 10gm糖負荷テストではB群において,術後早期,長期経過を問わず,耐糖能は保持していた.
8) 組織学的検索では両群に共通する点は,胃腺窩の軽度の増深, 十二指腸粘膜内の強い線維化がみられたことである.膵は内外分泌細胞とも正常構造であつた.
以上の結果より,小腸全摘術後の再建法として,逆蠕動胃管を用いることが,下痢の減少,総蛋白質,耐糖能の保持に有効であるとの結論を得た.
キーワード
小腸全摘, 逆蠕動胃管, 耐糖能, 下痢の対策, 経口糖負荷テスト
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