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日外会誌. 124(6): 529, 2023

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手術のtips and pitfalls

「内分泌(甲状腺)外科手術 最新手技の tips and pitfalls」によせて

日本医科大学付属病院 内分泌外科

軸薗 智雄



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今回,内分泌(甲状腺)外科手術の最新手技のtips and pitfallsとして,「甲状腺内視鏡手術」と「術中神経モニタリング」という二つのテーマを選定した.甲状腺内視鏡手術には多彩なアプローチ法(腋窩・鎖骨下・前胸部・乳輪・耳介周囲・口腔内など)が存在し,悪性疾患を含めて保険収載されたことで拡がりをみせている.また,発声機能に関わる反回神経と上喉頭神経外枝は細くて損傷されやすい繊細な神経だが,これら神経の温存に際して,こちらも近年保険収載された術中神経モニタリング装置(IONM)を導入することで,手術方法が大きく進歩している.これらのテーマについて,ご講演の経験豊富な先生方の中から,前者を鹿児島大学消化器・乳腺甲状腺外科の中条先生に,後者を隈病院外科の舛岡先生に,多くの分かりやすい図を用いて解説をお願いした.日本で最も普及している甲状腺内視鏡手術は,1998 年に清水らが報告したVANS 法(Video Assisted Neck Surgery)である.これは鎖骨下に約3cmの皮膚切開と前頸部に5mmのカメラポートを置いて,鎖骨下の切開部より専用鉤を挿入して前頸部を吊り上げる方法であるが,中条先生はこのVANS 法に更に工夫を加え,創の部位を変更した「VANS 変法」を実施されている.反回神経と上喉頭神経外枝は発声機能に関わる神経であり,非常に細くて損傷されやすい繊細な神経である.これらの神経の温存に際し,術中にIONMを導入することで手術方法が大きく進歩しており,また手術時間の短縮や出血量の減少など,安全性の向上にも寄与すると考えている.IONM を使用した手術経験の豊富な舛岡先生に甲状腺手術手技の要点について解説していただいた.今回の企画を通して多くの先生方に「甲状腺内視鏡手術」と「術中神経モニタリング」についてのご理解が深まることを期待している.

 
利益相反:なし

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