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日外会誌. 124(6): 471, 2023

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特集

先天性嚢胞性肺疾患のup to date

1.特集によせて

東京大学 小児外科

中原 さおり



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先天性嚢胞性肺疾患は発症機序の異なる複数の病態を含んでいるが,この20年ほどの間に疾患概念や分類にはいくつかの変遷がみられ,臨床の場では混乱が生じていると感じている.今回,外科医全体で最新の共通認識を持つ機会として本特集を企画した.
病態・病型ごとに異なる本疾患の発症機序の解明と分類は,遺伝子検索を含む病理学的探索や画像診断,およびそれらを臨床と共有するたゆまぬ努力によって確立されつつある.第2~5項では2022年ガイドライン策定に携わられた各分野のエキスパートの先生方にわかりやすく解説頂いた.
小児外科領域では,本疾患の多くは胎児診断され,後述される理由から無症状でも病変を早期に切除する方針が長らく主であったが,“経過観察”の可能性について検討が始まっている.また,区域切除・部分切除の適応が広がり,低侵襲手術という観点からは胸腔鏡手術も増えてきている.第6項では小児における胸腔鏡手術の適応や現況について,第7項では,ハイボリュームセンターでの豊富な症例蓄積に基づいた “経過観察”を含む現時点での本疾患に対する治療方針について言及頂いた.
一方,感染や悪性化を契機に発症した症例に多く接する一般外科医の本疾患についての認識や治療方針は,小児外科医とはおのずと異なるものがある.第8項では一般呼吸器外科医の立場から,治療方針から解剖学的区域切除や胸腔鏡手術,ロボット支援手術など具体的な術式や方法にわたる貴重なご意見を頂いた.
今後,小児外科と一般外科との協働はますます重要になってくると思われる.お互いが「同じ言語を話す」ためにも本特集が有益なものとなり,よりよい医療を提供する一助となれば幸いである.

 
利益相反:なし

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