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日外会誌. 123(4): 296, 2022

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会員へのメッセージ

理事長挨拶

日本外科学会理事長,東京医科大学呼吸器甲状腺外科 

池田 徳彦



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このたび,森正樹前理事長の後任として,日本外科学会第5代理事長を拝命いたしました.
会員の皆さんが生涯にわたって外科を継続できる環境を様々な視点から整備し,外科医療と研究成果を通して社会貢献できることを実現してまいりたいと思います.
外科治療も根治と低侵襲の両立が主流となり,内視鏡手術の適応も複雑術式や進行病変の低侵襲化にまで拡大しております.ロボット支援下手術も均てん化しつつあり,遠隔手術も実施される準備が進んでおります.悪性疾患の評価にゲノム医療が導入され,新規薬剤の登場で周術期や再発時の治療も急速に進化しております.このような高度かつ広汎な技術と知識を修得するために,教育事業の拡大が必要であります.
専門研修における基本領域の専攻医採用数(2022年)は9,519人であり,このうち外科専攻医は852人(9%)でありました.総数に対する外科志望者の比率は若干の低下傾向にあり,若手外科医の確保は学会としての課題であります.外科医を志す場合は3年間の外科専門研修を受けますが,外科サブスペシャルティ領域との緊密な連携による連動研修によって基本領域の研修中に興味ある領域を集中して研修する方式も稼働しています.一方で多くの症例経験を積むことにとどまらず,専攻医の技術や知識の到達度を客観的に評価し,可視化する方法も検討すべきと思います.ワークライフバランスに配慮しつつ,技・知・心を修得できる一段階上の研修環境を構築すべく努力いたします.
生涯にわたって外科を継続するために,労働環境・体制の改善には森正樹前理事長も注力され,インセンティブ導入,タスクシフト促進,訴訟対策などに取り組まれました.「働きやすさ」が備われば,若い年代も安心して外科医を目指すことができます.次世代育成のためにも外科医の労働環境改善を引き続き重視していきます.
本学会の女性会員も年々増加し,現在の女性会員比率は10.3%です.女性医師の労働環境の改善,学会や委員会での活躍の場を増やすことも理事会で女性理事とともに鋭意,検討中であります.女性医師に限らず,本学会に属する外科医全体の多様性を尊重するダイバーシティー推進の意識を啓蒙していきます.学会運営に対しても女性医師,若手医師から多くの意見を頂戴したいと思います.
上記の事項は歴代の理事長,理事,代議員が取り組まれてきた事業を基盤としております.先達の努力に感謝しつつ,引き続き推進すべき課題を述べさせていただきました.
解決に向け会員の皆様からの声を参考にしつつ,努力してまいります.
どうか御指導のほどお願い申し上げます.

 
利益相反:なし

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