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日外会誌. 121(3): 379, 2020

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生涯教育セミナー記録

2019年度 第27回日本外科学会生涯教育セミナー(北海道地区)

「各分野のガイドラインを紐解く in Hokkaido」によせて

日本外科学会教育委員会北海道地区委員長,北海道大学消化器外科Ⅰ 

武冨 紹信

(2020年1月11日受付)



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診療ガイドラインは,医療行為について科学的根拠に基づき系統的に評価を行い,医療者および患者の治療方針の判断材料とすべく作成されたもので,昨今外科領域にも幅広く普及してきました.ただ,診療ガイドラインは標準的な診療行為を評価したものであり,医療者の経験を否定するものではなく患者個々の病態・条件を十分に考慮しうまく使いこなす必要があります.そのためにも,まずは診療ガイドラインの内容を熟知する必要があります.
今回のテーマである「各分野のガイドラインを紐解く」では道内各分野のエキスパート6名の先生方にご講演をお願いしました.北海道大学循環病態内科学の安斉俊久先生には急性・慢性心不全診療ガイドライン(2018年版)について外科医にわかりやすく解説していただきました.左室駆出率(LVEF)が保たれた心不全(HFrecEF)が最近の大きな課題であり,われわれ外科医も注意すべき疾患概念として強調されていました.次に,札幌医科大学呼吸器外科の渡辺敦先生には肺癌診療ガイドライン(2018年版)について,旭川医科大学肝胆膵・移植外科学の横尾英樹先生には肝癌診療ガイドライン(2017年版)の改訂ポイントについてご講演いただきました.さらに,北海道大学消化器外科学Ⅱの海老原裕磨先生には胃癌治療ガイドライン(2018年版),旭川医科大学消化管外科学分野の角泰雄先生には大腸癌治療ガイドライン(2019年版),最後に国立病院機構北海道がんセンター乳腺外科の高橋將人先生には乳癌診療ガイドライン(2018年版)についてわかりやすくご講演いただきました.ガイドライン作成手法としてGrading of Recommendations Assessment, Development and Evaluation(GRADE)システムを導入したものが多く,エビデンスとコンセンサスを考慮した内容になっているのが最近の診療ガイドラインの特徴のようです.
日頃じっくりと聞くことができない他分野の診療ガイドラインについて,このまとまった機会に多くの講演を拝聴することができ,参加した日本外科学会会員の皆様も満足されたことと思います.おかげさまで年明け早々の雪深い時期の開催にも関わらず150名を超える会員の出席を得ることができました.この場を借りてセミナーの開催にご協力いただいた多くの方々,司会,講師の先生方,さらにご参加いただいた先生方にあらためて御礼申し上げます.

 
利益相反:なし

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