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日外会誌. 126(2): 216-219, 2025


会員からの寄稿

AI技術を活用した腹腔内遺物検出機能を付加したX線撮影装置開発

長崎大学大学院 移植・消化器外科学

江口 晋 , 曽山 明彦

内容要旨
2023年に販売が開始されたAI(Artificial Intelligence)搭載レントゲン装置「CALNEO ACRO」は,富士フイルム株式会社(以下,「富士フイルム」)と共同開発したもので,ガーゼ等の異物が疑われる箇所を自動で指摘する機能を持つ.この装置の開発は,2018年に手術中のガーゼ遺残事故が発端となった.手術後のレントゲンではガーゼが見逃されていたため,AIを用いた遺物検出システムの必要性が認識された.開発には放射線科や技師,富士フイルムの協力があり,数千枚のレントゲン画像とファントム画像を用いてAIに学習させた.最終的にプロトタイプが完成し,アメリカ外科学会雑誌(JACS)に論文が掲載された.臨床研究を経て製品化されたシステムは,全国の病院で使用されている.本プロジェクトは医療事故の再発防止に貢献し,アカデミアの役割を果たす貴重な経験となった.


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