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日外会誌. 126(2): 144-148, 2025


特集

外科医の働き方改革

4.呼吸器外科における働き方改革

久留米大学 呼吸器外科

光岡 正浩

内容要旨
2024年4月の医師の働き方改革の施行に伴い,外科系診療科,とりわけ呼吸器外科では持続可能な診療体制の構築が求められている.本稿では,呼吸器外科医の現状と課題を分析し,働き方改革を推進する具体的な事例を紹介する.診療科別医師数の推移では,外科のみが増加傾向にない現状や,若手医師のキャリア形成の課題が浮き彫りになっている.これらに対処するには,タスクシフトやタスクシェアの推進が不可欠である.特に,看護師の特定行為研修制度や医師事務作業補助者の導入が,外科医の負担軽減と業務効率化に寄与している.また,米国のNurse Practitioner(NP)やPhysician Assistant(PA)との比較を基に,日本の特定行為研修終了看護師の活用法を検討する必要がある.加えて,事務作業においては医師事務作業補助者の積極的な活用が外科医の専門業務への専念を可能にする.当院では,集中治療部の勤務体制を見直し,新たにUrgent Care Team(UCT)を設立した.この取り組みにより,術後管理や夜間・休日勤務体制が改善され,外科医の負担軽減と医療安全の向上が期待される.
本稿では,呼吸器外科における働き方改革の方向性として,集中治療部門の充実,事務作業の効率化,デジタル技術の活用を挙げた.これらの取り組みが,持続可能な診療体制の構築と医療の質向上に寄与することを願っている.

キーワード
医師の働き方改革, 呼吸器外科, 集中治療, 看護師特定行為研修, 医師事務作業補助者


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