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日外会誌. 122(4): 404-410, 2021


特集

直腸癌治療の温故知新

8.術後合併症―LARSと排便機能障害への対応―

国立がん研究センター東病院 大腸外科・クオリティマネジメント室

西澤 祐吏

内容要旨
Low anterior resection syndrome(LARS)は直腸癌に対する肛門温存手術後に高率に認める状態であり,Quality of life(QOL)の低下につながる.またそのLARSの重症度とQOLには相関関係があることから,LARSに対する積極的な介入がQOLの向上には不可欠である.便失禁診療ガイドラインが刊行され,内外括約筋間直腸切除術(ISR)が保険収載された現在において,このLARSや排便機能障害は日常診療で取り扱うべき病態となってきた.直腸癌は根治しても,LARSは半永久的に継続していく病態であるため,患者にとっては大きな問題が残ることから,外科医は術後合併症の一つとして真摯に向き合う必要がある.
下部直腸癌に対するISRを含めた肛門温存手術において,LARSと排便機能障害に関する現在までの知見と今後の展望を示す.根治を得た直腸癌術後の患者QOLが向上することを願っている.

キーワード
直腸癌手術, 肛門温存手術, 術後排便機能障害, 低位前方切除後症候群(LARS)


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