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日外会誌. 120(6): 676-680, 2019
特集
外科医とがん登録―NCDから見えてきたわが国のがん治療の実態―
9.膵がん登録
内容要旨日本膵臓学会の登録事業である膵がん登録は1981年に開始以降,これまで約5万例の膵腫瘍症例が登録され学術研究に利活用されてきた.2012年からはNational Clinical Database(NCD)に実装され,暫定的にNCD膵がん登録と従来登録を併行した.2012年から2013年までのNCD膵がん登録と従来登録のデータを比較したところ,通常型膵がんの2年間の登録数は従来登録が4,745例,NCD膵がん登録では7,950例で,NCD膵がん登録の方が従来登録に比べて約1.7倍多かった.そのうち膵切除症例は従来登録が2,441例(51.4%),NCD膵がん登録が6,153例(77.4%)であり,NCD膵がん登録では膵切除症例を多く占め非手術症例の登録が非常に少ないという結果であったが,膵切除例における術式の割合や病期,がん遺残度については,NCD膵がん登録と従来登録は概ね相違なかったことから,2016年からNCD膵がん登録に1本化した.NCD膵がん登録の予後入力率は,介入前は約20%と低いことが問題となっていたが,2017年に第1回予後調査を行い入力率は80%以上に向上した.2012年から2015年までにNCD膵がん登録された通常型膵がん切除例約13,000例の2年生存率は59.0%,5年生存率は30.6%であった.2001年から2007年までの膵がん切除例の5年生存率は18.8%であり,膵がん切除症例の予後向上がうかがえる.
キーワード
膵がん, 膵がん登録, National Clinical Database
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