[書誌情報] [全文HTML] [全文PDF] (614KB) [会員限定]

日外会誌. 120(6): 671-675, 2019


特集

外科医とがん登録―NCDから見えてきたわが国のがん治療の実態―

8.胆道がん登録

1) 藤田医科大学 地域医療学
2) 藤田医科大学 消化器外科

石原 慎1) , 堀口 明彦2)

内容要旨
National Clinical Database(NCD)は2010年4月に日本外科学会とともに外科関連の専門医制度をもつ学会が合同でスタートした.データベースは,A:統計的調査,B:医療評価調査,C:臨床研究の3階建て構造となっており,B2項目から,胆道がんに関連する肝切除術や膵頭十二指腸切除術の30日死亡率や手術関連死亡率といった短期予後の解析結果が公表されている.肝切除術の30日死亡率,手術関連死亡率のオッズ比は,胆嚢がん4.1,3.2,肝門部領域胆管がん2.5,2.0と報告されている.膵頭十二指腸切除術で上記の死亡率は,それはそれぞれ胆嚢がん1.0%,1.1%,肝門部胆管がん2.2%,4.4%,肝外胆管がん1.7%,3.5%,十二指腸乳頭部がん1.5%,3.2%である.胆道がんの長期予後は,時期が異なる全国胆道癌登録の報告から,年代が新しくなるにつれ予後の改善がみられる.今後,長期予後に関してもNCDに実装することが望ましいと思われる.

キーワード
胆道がん登録, National Clinical Database(NCD), 胆管がん, 胆嚢がん, 十二指腸乳頭部がん


<< 前の論文へ次の論文へ >>

PDFを閲覧するためには Adobe Reader が必要です。