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日外会誌. 120(5): 534-542, 2019


特集

外科医育成のためのOff-the-job training (Off-JT)の現状と将来

8.Off-JTの客観的評価法の確立

東京慈恵会医科大学 心臓外科

坂東 興

内容要旨
1.はじめに
手術手技のトレーニングを主に実際の手術の場で行うことは,限られた症例数に加え,重症患者の増加,低侵襲手術の導入など様々な要因から,倫理的にも,効率的にもそぐわない状況となっている.近年,新しいSimulation機器の開発など,Off-the-job training(Off-JT)で,基本的な手術手技や術中の危機対応を学ぶ環境が整ってきている.
2.Off-JTの特徴と客観的評価法の確立の必要性
Off-JTでは,簡便な器具を用いて自主的に行う練習から,本格的なSimulatorによるDry Lab,動物を用いる Wet Labまで,繰り返し同じ術式をトレーニングできることが,大きな特長である.この特長をさらに生かすためには,評価者の主観にとらわれない客観的な評価法の確立が必要である.
3.客観的評価法確立の具体的方策
標準化されたOff-JT/On-JTの評価法を確立するためには,専門家により具体的な評価項目案をあげ,それに基づき修練者の実際のVideoを用いて,点数評価基準の設定を行う必要がある.各評価者が判定した結果を解析して,一致度(interclass correlation efficient:ICC)が高い客観性が担保されたものを評価基準として設定した.
4.最後に
Off-JT, On-JTをさらに効果的なものとするためには,手術後のDebriefingに加え,指導者から専攻医へのFeed backの重要性をあげたい.

キーワード
Off-the-job training, Simulation, 客観的評価法, Check list, Feed back


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