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日外会誌. 120(1): 24-29, 2019


特集

大腸手術における周術期感染対策―EBMに基づいたbest practice―

4.周術期抗菌薬関連腸炎の診断と治療

1) 広島大学病院 感染症科
2) 広島大学大学院 外科学

大毛 宏喜1) , 渡谷 祐介2) , 上神 慎之介2) , 嶋田 徳光2) , 矢野 雷太2) , 向田 敦史2) , 上村 健一郎2) , 村上 義昭2) , 末田 泰二郎2)

内容要旨
抗菌薬関連腸炎の代表である,Clostridium (Clostridioides) difficile感染症は,消化器外科術後の0.28%で発症するとされる.頻度が決して高くないにも関わらず,近年この感染症が問題となっている理由は,術後に発症した場合死亡率が上昇すること,在院日数が延長し医療コストが上昇すること,などである.加えて本感染症特有の問題点として迅速診断検査の感度が低いこと,再発が多いことが挙げられる.迅速診断検査の課題を解決する手法として遺伝子検査が登場した.また再発に対しては,メトロニダゾールやバンコマイシンと比較して再発率の低いフィダキソマイシンが上市されたほか,再発例に対する抗体薬のベズロトクスマブも使用可能となった.これらの診断法や新薬はコストの問題を抱えており,費用対効果の検証に基づいた適正使用が望まれる.

キーワード
Clostridioides difficile感染症, NAAT, 再発予防


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