[書誌情報] [全文HTML] [全文PDF] (1070KB) [会員限定]

日外会誌. 120(1): 10-17, 2019


特集

大腸手術における周術期感染対策―EBMに基づいたbest practice―

2.大腸手術における周術期感染症の最近の動向

兵庫医科大学 感染制御学

竹末 芳生

内容要旨
大腸手術における術後感染予防抗菌薬は,大腸菌,肺炎桿菌などの腸内細菌科細菌とバクテロイデス属などの嫌気性菌に抗菌活性を有する薬剤を選択する.また術後感染症ではそれらに加え,エンテロバクター属や緑膿菌,腸球菌をカバーする抗菌薬を使用する.ここで,現在,大腸菌などの腸内細菌科細菌やバクテロイデス属における抗菌薬耐性化が問題となっており,大腸手術における予防抗菌薬や手術部位感染発生(surgical site infection,SSI)時の治療抗菌薬の選択において以前と異なった考え方が必要となってきている.本稿では,消化器手術を中心に2014~2015年に実施したSSI検出菌抗菌薬感受性全国サーベイランスのpost-hoc解析として,大腸手術におけるSSI検出菌の抗菌薬感受性を検討し,主要原因菌をカバーする術後腹腔内感染治療レジメンや,大腸手術予防的抗菌薬において第2世代セフェム系薬から他の抗菌薬への変更や,術前日機械的腸管処置後の経口抗菌薬投与に関する最近の動向について解説した.

キーワード
大腸手術, 手術部位感染, 腸内細菌科細菌, バクテロイデス属, 術前腸管処置


<< 前の論文へ次の論文へ >>

PDFを閲覧するためには Adobe Reader が必要です。