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日外会誌. 118(6): 639-645, 2017


特集

分子標的療法は外科治療をどう変えるか

7.大腸癌

神戸大学 外科学講座食道胃腸外科

長谷川 寛 , 山下 公大 , 松田 武 , 掛地 吉弘

内容要旨
新規抗癌剤や分子標的治療薬の登場に伴い,近年の切除不能進行再発大腸癌の治療成績は向上してきた.高い奏効率を誇る強力な化学療法はconversion手術を含めた大腸癌治療戦略を大きく変化させている.化学療法を如何に治療に組み入れ,大腸癌治療成績を向上させていくのかが大きな課題となっている.
分子標的薬は進行再発大腸癌に対する一次治療以降の全てのラインで使用されている.血管新生を阻害する抗VEGF(Vascular Endothelial Growth Factor)-A抗体,抗VEGFR-2抗体,VEGF結合阻害剤,経口チロシンキナーゼ阻害剤,細胞増殖シグナルを抑える抗EGFR(Epidermal Growth Factor Receptor)抗体とほぼ全ての薬剤がわが国で使用可能である.
抗EGFR薬はRAS野生型に効果が認められており,RAS野生型の一次治療では抗VEGF薬と抗EGFR薬のいずれも使用可能である.化学療法と併用することにより,抗VEGF薬は生存の延長,抗EGFR薬は腫瘍の縮小が期待されるが,どちらを選択すべきかについて結論は得られていない.この薬剤選択に関しては,原発巣の局在(右側/左側)によって使い分ける治療アルゴリズムや,治療ゴール(Cytoreduction/ Disease control)に応じて使い分ける治療アルゴリズムも提唱されている.
様々な遺伝子変異を調べて個々の症例に適した治療戦略を考える流れが見てとれる.薬剤の特徴を理解し,症例に応じた使い方で外科治療を含めて患者の益となる効果を生み出していきたい.

キーワード
分子標的薬, 切除不能進行再発大腸癌, NCCNガイドライン, ESMOガイドライン, consensus molecular subtypes

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