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日外会誌. 118(6): 634-638, 2017


特集

分子標的療法は外科治療をどう変えるか

6.膵悪性腫瘍

静岡県立静岡がんセンター 肝胆膵外科

上坂 克彦

内容要旨
膵の悪性腫瘍の中で,代表的存在である浸潤性膵管癌(以下,膵癌と略記)と膵神経内分泌腫瘍(以下,膵NETと略記)をとりあげ,それらに対する分子標的治療の現状と将来を概説した.
膵癌においては,分子標的治療薬で使用が推奨されているのは,遠隔転移を有する切除不能膵癌に対するエルロチニブだけであり,その臨床的有用性は極めて限定的である.殺細胞性抗腫瘍薬は,膵癌の術後補助療法の成績を劇的に改善させるなど,膵癌の外科治療に大きな影響を及ぼしてきた.これに対して,分子標的治療薬の膵癌外科治療に対する貢献は,いまだ極めて乏しい.
膵NETにおいては,分子標的治療薬で使用が推奨されているのは,G1,G2に対するエベロリムスとスニチニブである.両薬とも,切除不能膵NETに対する第Ⅲ相試験で,無増悪生存期間を有意に延長させることが証明され,世界中で広く用いられるようになった.しかし,これらの薬においても,術後補助療法など,膵NETの外科治療と組み合わせたデータはいまだない.
今後,特に膵癌に対して真に有効な分子標的治療薬の出現が切望される.さらに,近未来においては,膵の悪性腫瘍の領域でも,ゲノム情報に基づいた個別化治療が,切除と組み合わせた集学的治療の形で進むことが期待される.

キーワード
膵癌, 膵神経内分泌腫瘍, エルロチニブ, エベロリムス, スニチニブ

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