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日外会誌. 118(6): 628-633, 2017


特集

分子標的療法は外科治療をどう変えるか

5.胃癌

名古屋大学大学院 医学系研究科消化器外科学

小寺 泰弘

内容要旨
これまでに数多くの分子標的治療薬が開発され,胃癌でもその効果を検証する治験が行われてきた.しかし,「有効な抗癌剤を使い切る」というわが国の進行・再発胃癌に対する治療体系は一次治療における新薬の効果を全生存期間という主要評価項目において証明する臨床試験には不向きであった感もあり,現在までに承認されているのはHER2陽性胃癌に対する抗HER2ヒト化モノクローナル抗体trastuzumabとall comerの二次治療における抗VEGFR2完全ヒトモノクローナル抗体ramucirumabのみである.開発の経緯から,これらの薬剤は進行・再発胃癌の治療にのみ適応があり,周術期補助化学療法に使用できるものではないため,現在のところ胃癌の外科治療を直接変えるには至っていない.ただし,一次治療におけるtrastuzumabの効果により,切除不能胃癌が近年話題となっているconversion surgeryに到達する確率が向上する可能性は指摘し得る.一方,近年抗PD-1抗体nivolumab,pembrolizumab,抗PD-L1抗体avelumab,抗CTLA-4抗体ipilimumabなど,いくつかの免疫チェックポイント阻害薬が登場し,周術期補助化学療法を含む胃癌治療の様々な局面でその有効性を検証する治験が進められている.免疫寛容の状態を解除し,T細胞が本来有する抗癌作用を発揮させるこれらの薬剤が周術期に良好に作用すると,手術侵襲に伴う腫瘍免疫の低下を克服し,進行胃癌の治療に寄与する可能性がある.

キーワード
胃癌, 補助化学療法, 分子標的治療薬, 免疫チェックポイント阻害剤, Window of opportunity

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