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日外会誌. 118(1): 25-30, 2017


特集

外科手術における画像支援の現状と今後の展開

4.上部消化管―内視鏡外科手術における3D-CT画像の有用性―

慶應義塾大学医学部 外科学(一般・消化器)

松田 諭 , 竹内 裕也 , 北川 雄光

内容要旨
術中・術後合併症の軽減,手術根治性の向上を目的として画像シミュレーション・ナビゲーションを用いた消化器癌手術が広く行われるようになってきている.食道癌手術においては,術後の気管血流を保つために気管支動脈を温存することが有用とされているが,その走行には亜型が多い.そこで術前に気管支動脈の3D CT angiography(3D-CTA)を用いることで,その分岐形態や走行を把握し,確実な温存につなげることができていると考えている.胃癌手術においては,血管周囲の剥離可能層を維持したリンパ節郭清が有用であり,その安全性を高めるために術前3D-CTAが有用とされている.特に脾門部の血管走行は非常に複雑であり,脾温存腹腔鏡下胃全摘術においては3D-CTAの有用性が高いと考えている.食道癌,胃癌手術いずれにおいても,3D-CTA導入によりリンパ節郭清個数が増加したという報告があり,安全性を高めるのみならず,より精緻なリンパ節郭清につながっている可能性が示唆されている.食道癌や胃癌のような管腔臓器の手術では,術前シミュレーション時と術中で臓器の位置関係が大きく異なるため術中ナビゲーション手術への応用へは課題が多いが,術野展開にあわせたより正確なナビゲーション手術への発展が待たれる.

キーワード
食道癌, 胃癌, 画像ナビゲーション, 3DCT


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