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日外会誌. 118(1): 19-24, 2017


特集

外科手術における画像支援の現状と今後の展開

3.肺―ホームメード・ソフトによる肺区域切除 シミュレーション・ナビゲーション―

湘南東部総合病院 呼吸器外科

大貫 恭正

内容要旨
肺区域切除レベルの気管支,肺血管三次元走行のバリエーションは肺葉切除レベルでのそれと比較すると,非常に多い.胸腔鏡下に区域切除をする場合は,術前に,三次元の枝画像を作り,術者全員でその画像を見ながら,各枝の切断順番を考え,肺区域間の切断部位を想定する手術シミュレーションを行い,それを共有することで余計な剥離操作を少なくし,手術時間を短縮する.われわれは独自にComputer Tomography(CT)画像から気管支や血管,肺,腫瘤の形を円柱,膜などの単純な3次元図形(気管支や血管は円柱が連続して連なり分岐する)に見立て,外科医がCT画像を上下に動かしながら,各円柱の起点,終点,半径のデータ等を連続して入力し,3次元(3D)モデラーで読み込むソフトを開発した.通常のCTから作る3D画像は ボリュームレンダリング法であるが,われわれのそれはサーフェスレンダリング法であり,単に観察だけでなく,一般に流通するサーフェスレンダリング法用の3Dレンダリングソフトを利用し,変形,切断,移動などの修飾が容易にでき,さらに,3D画像表示や蓄積データの解析などにも応用できた.胸腔鏡下,区域切除などの手術シミュレーション,ナビゲーションの実際の運用や新しい術式への応用,さらに,500例以上の症例でのデータの解析結果などについて現状と今後の発展方向について解説的に述べる.

キーワード
手術シミュレーション, 手術ナビゲーション, サーフェスレンダリング法, 3Dモデラー, ホームメード・ソフト


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