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日外会誌. 118(1): 31-37, 2017


特集

外科手術における画像支援の現状と今後の展開

5.下部消化管―大腸癌に対する画像支援手術―

大阪医科大学附属病院 がんセンター先端医療開発部門(消化器外科)

奥田 準二

内容要旨
近年,進行大腸癌にも低侵襲手術として腹腔鏡下手術を導入する施設が増えている.しかし,腹腔鏡下手術では,十分な触診が行えず,視野が狭くて全体像を捉えにくいために,主要血管の走行・分岐形態や病変と周囲臓器との関係など個々の患者の外科解剖の把握が困難なことも稀でなく,これらの外科解剖を誤認して出血,虚血や臓器損傷を併発する危険性がある.われわれは,この問題を解決すべく,2000年より3D-CT支援画像を導入して個々の患者の外科解剖を構築し,綿密な術前シミュレーションと術中ナビゲーションに活用してきた.右側結腸進行癌に対するsurgical trunkの郭清や左側結腸進行癌に対する血管温存D3郭清への画像支援を基本に,主要血管のバリエーションが豊富で難易度の高い横行結腸進行癌に対する中枢側D3郭清や下部直腸進行癌に対する側方郭清にも極めて有用と認識され,進行大腸癌に対する適応拡大とも相まって近年は多くの施設で活用されるようになってきた.日々進歩を続ける3D-CT画像は,放射線科との密接な連携により,より明瞭で使いやすい画像となって内視鏡下大腸癌手術のシミュレーションとナビゲーションを大きく支援していくことになると考えられる.

キーワード
大腸癌, 画像支援手術, 3D-CT


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