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日外会誌. 114(2): 97-100, 2013
特集
医療関連死の『見える化』
5.医療ADR(Alternative Dispute Resolution;裁判外紛争解決手続)の効果
I.内容要旨
茨城県医師会では2006年に受療者(患者と家族)と医療者の間に生じた紛争を,当事者同士が対話することによって解決する手段として医療問題中立処理委員会を設立した.
医療ADRの多くは弁護士会が設置したものであり,紛争の金銭的な解決を図ることを目的にしている.茨城県医師会の中立処理委員会は受療者と医療者の相互理解をめざすものである.
過去6年間の申し立て件数は74件,応諾数は64件.他のADR機関と比べて応諾率が高いことが本委員会の特徴である.弁護士会ではなく県医師会で主催していることが医療者に安心感を与えているものと思われる.
あっせん·調停会議で合意に至った事例は年々増え,62件中29件,46.8%に達している.
受療者および医療者に対するアンケートでは,受療者は,よく話を聞いてもらえた事や医療者と直接話し合えた事などに満足し,不満は中立的で無いように感じられた事のようであった.医療者は第三者の立場で調停されたので感情的にならずに話し合えた点を評価し,当事者同士で話し合いたかったとの回答が数件あった.
合意に至らなかった事例のその後の経過を医療者に聞いたところ,解決4件,裁判3件,証拠保全3件,調停が1件,ほぼ動き無しが21件であった.中立委員会で話し合った事で医療機関への直接的な働きかけが少なくなるようである.
キーワード
裁判外紛争処理, 茨城県医師会, 医療問題中立処理委員会
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