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日外会誌. 114(2): 101-104, 2013


特集

医療関連死の『見える化』

6.医療関連死における行政解剖·司法解剖の役割

日本法医学会 企画調査(診療関連死)元担当理事
東北大学大学院 医学系研究科法医学分野

舟山 眞人

I.内容要旨
医療関連死の解明には解剖が必要であることは論を待たない.わが国では医療関連死が刑事事件として扱われることがあり,その一環として司法解剖が行われる.しかし同解剖の一番の問題点は鑑定書の開示がしばしば捜査機関から拒否されることであり,遺族も当該医療機関も具体的な情報が得られないままの状態が長期に亘ることであろうと考える.一方,行政解剖に関しては開示の縛りは司法解剖に比べて緩いが,施行されている地区が限られている.なお,2013年4月から死因究明二法の一つ,死因·身元調査法が施行されるが,ここには医療関連死に関しての条項はない.即ち,医療関連死に関しては医師法第21条を含め,あくまでも現行法の適応になる.ただ医療関連死は政府において,今後別途検討されることになっている.ぜひ日本外科学会はじめ関連臨床学会からも政府に対し,わが国の医療関連死の問題点を継続的に訴えて頂きたい.

キーワード
司法解剖, 行政解剖, 鑑定, 開示, 死因究明二法


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