[書誌情報] [全文HTML] [全文PDF] (291KB) [会員限定]

日外会誌. 113(6): 507-511, 2012


特集

内分泌外科の現状と将来

6.甲状腺腫瘍診療ガイドライン

神奈川県立がんセンター 乳腺·内分泌外科

吉田 明

I.内容要旨
わが国においては甲状腺分化癌の治療方針が放射性ヨードの利用面などで諸外国と異なっており,ガイドライン作成は見送られてきた.しかし「内分泌·甲状腺外科専門医制度」の誕生を契機にガイドライン作りの機運が高まり,日本内分泌外科学会と日本甲状腺外科学会が中心となり,2010年「日本型」のガイドラインが誕生した.このガイドラインでは頻度的に取り扱うことの多い乳頭癌の初期治療について,原発巣が5cm以上のもの,周囲臓器への浸潤や側頸部のリンパ節腫大が明らかなhigh risk癌では甲状腺全摘を薦めるが,それ以外の乳頭癌では非全摘を容認している.諸外国のガイドラインに較べて乳頭癌の甲状腺全摘の適応は狭くなっている.しかし全摘後の131I ablationの必要性なども詳細に記載されており,現時点における日本の標準診療を良く現しているガイドラインである.本ガイドラインの英語版が2012年の夏には出版され世界に向かって日本独自の治療方針が発信される.本ガイドラインが甲状腺腫瘍診療の標準化に少しでも貢献できれば幸甚である.

キーワード
131I アブレーション, 甲状腺乳頭癌, 標準治療, 甲状腺全摘術, クリニカルクエッション


<< 前の論文へ次の論文へ >>

PDFを閲覧するためには Adobe Reader が必要です。