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日外会誌. 111(2): 79-83, 2010


特集

動脈閉塞症に対する手術 vs 血管内治療:治療成績からみた選択基準

3.腹部大動脈·腸骨動脈領域

東京医科大学 外科学第二講座

小櫃 由樹生 , 重松 宏

I.内容要旨
腹部大動脈腸骨動脈領域の閉塞性動脈硬化症(peripheral arterial disease:PAD)に対する血行再建術の適応はTASC II分類のA,B型病変では血管内治療が,C,D型病変に対しては外科的バイパス術が推奨されているが,近年のステントの発達·普及に伴い血管内治療の成績は飛躍的に向上し,その適応も拡大しつつある.病変長10cm以下の狭窄病変や片側性の総腸骨あるいは外腸骨動脈閉塞(A,B型病変)に対しては血管内治療が第一選択となり,技術水準の高い術者では大動脈閉塞ならびに総大腿動脈病変を併存する例を除いたC,D型病変も第一選択となりうる.したがって,C型およびD型病変の一部に血管内治療を選択する場合には,術者の技量,患者のリスク·QOLならびに血行再建の適応を十分検討しなければならず,血管内治療が不成功に終わった場合の治療選択をも視野に入れることが肝要である.

キーワード
Hybrid procedures, Endovascular aortic repair, Multiple aortic aneurysms


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