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日外会誌. 126(2): 172, 2025

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会員のための企画

「外科医が知っておくべき重症心不全治療の現況―補助人工心臓を中心に―」によせて

国際医療福祉大学 心臓外科

真鍋 晋



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日常診療において外科医が困惑する状況の一つが,重篤な他臓器合併症を有する患者の周術期管理であろう.平成の時代には,透析患者への外科治療という課題に直面し,術後の透析での抗凝固療法や除水設定など,試行錯誤を繰り返したものである.後に透析人口は増加し,現在ではこうした透析管理も日常診療の一部となっている.令和の時代ともなると,直面する問題にも少し変化が生じてくるのかもしれない.
“今度の手術患者には,補助人工心臓が植え込まれているらしい”.
こんなSF小説のような設定が,欧米ではすでに現実になりつつある.というのも米国には現在25,000例以上の植え込み型左室補助人工心臓(LVAD)装着患者がおり,毎年2,000件以上の埋め込みが実施されている.その結果,植え込み型LVAD患者への非心臓手術も年々増加している.一方でわが国では,超高齢化社会で心不全患者が120万人を超え,心不全パンデミックに突入している.植え込み型LVADの適応も,従来の心臓移植待機患者から,2021年には移植を前提としない終末期心不全治療にまで拡大されている.現状ではわが国でのLVAD装着患者への非心臓手術は,まだまだ症例報告が散見される程度のレアケースではあるが,近い将来に増加してくることはほぼ間違いない.
こうした状況を鑑み,東京科学大学大学院心臓血管外科学講座の藤原立樹先生に「外科医が知っておくべき重症心不全治療の現況―補助人工心臓を中心に―」というタイトルでご執筆をいただいた.藤原先生は植込み型LVAD実施医であり,最近ではルートヴィヒ・マクシミリアン大学ミュンヘンで最先端の重症心不全治療を学んでこられている.本稿では代表的なLVAD機種を解説していただき,重症心不全患者への適応や埋込み型LVAD装着患者の非心臓手術の現状についても触れていただいた.本企画が会員の皆様にとって,来るべき心不全パンデミック時代への備えの一助となれば幸いである.

 
利益相反:なし

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