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日外会誌. 125(1): 63, 2024

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会員のための企画

「臨床研修病院における外科医の働き方改革」によせて

京都大学 医学研究科肝胆膵・移植外科

内田 洋一朗



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外科医人口の急速な減少は,喫緊の課題の一つである.外科医育成のためには,外科医リクルート対策が必須であり,外科入局者を増加させるためには,外科医の労働環境の改善や女性外科医も含めた多様な働き方を受け入れる必要がある.現在は卒後2年間の初期研修が努力義務化され,大学病院もしくは臨床研修病院で行われており,大学病院以外で臨床研修を行う研修医も多い.この初期研修における外科研修は,外科医選択に関して大きな影響を与えている.それ故に,大学病院のみならず臨床研修病院における働き方改革もますます重要となる.
2024年4月から“医師の働き方改革”がいよいよ開始となる.それに先立ち,本企画では,臨床研修病院の視点から外科医の働き方改革について,医学研究所北野病院消化器外科の寺嶋宏明先生に「臨床研修病院における外科医の働き方改革」というタイトルでご執筆いただいた.寺嶋先生は,北野病院副院長の立場で院内の働き方改革推進にも携わり,さらに京都大学外科学教室(消化管外科,肝胆膵・移植外科,乳腺外科の三講座)が一つにまとまり優秀な外科医の育成を活動理念とする京都大学外科交流センターの理事長としても,外科医の育成やキャリアパス形成の支援に積極的に取り組まれている.“医師の働き方改革”の概要と重要なポイントを解説いただいた上で,臨床研修病院である北野病院における勤務実態調査に基づき,実際の取り組みを提示いただいた.特にタスクシェアシフトの工夫は,大いに参考になると思われる.
外科医の働き方改革に向けて,われわれ外科医はどのように考え,どのように対応していくのか,どのような意識改革が必要なのか?若手外科医のリクルート対策のためにも,意識改革に加えて,実際の現場の声を踏まえた業務改革が必須である. 本企画が会員の皆様にとって,今春から始まる“医師の働き方改革”における対策の一助となれば幸いである.

 
利益相反:なし

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