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日外会誌. 124(4): 311-312, 2023

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理想の男女共同参画を目指して

東京女子医科大学におけるダイバーシティ推進とリーダー育成の変遷

1) 東京女子医科大学消化器・一般外科 
2) 東京女子医科大学女性医療人キャリア形成センターダイバーシティ環境整備事業推進室 
3) 宇都宮記念病院 

番場 嘉子1)2) , 本多 祥子2) , 西井 明子2) , 金子 由香1) , 近藤 宏佳1) , 前田 文1) , 山本 雅一3) , 板橋 道朗1) , 山口 茂樹1)

内容要旨
東京女子医科大学では女性医療人が生涯を通じて活躍し続ける環境を目指し,環境整備や研究力向上・リーダー育成,上位職への登用の取り組みを続けている.また女性外科医のロールモデルは重要である.

キーワード
キャリア形成, 女性外科医, ロールモデル, ピアラーニング

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I.はじめに
東京女子医科大学では「至誠と愛」の理念のもと,女性医療人の育成と社会への貢献を実践している.勤務継続支援のほか,キャリア形成によりリーダーとなる人材を育成し,女性医療人が生涯活躍できる環境づくりに取り組んでいる1)

II.ダイバーシティ研究環境実現イニシアティブ(特色型・先端型)
東京女子医科大学は文部科学省平成28年度科学技術人材育成費補助事業ダイバーシティ研究環境実現イニシアティブ(特色型)採択され,6年間で女性医療人の(1)ダイバーシティ研究環境整備(勤務環境改善,育児支援,介護支援),(2)研究力向上・リーダー育成,(3)上位職への登用に取り組み,成果をあげた.さらに令和3年10月にダイバーシティ研究環境実現イニシアティブ(先端型)(図1)に採択され,特色型での取り組みに加えて先端的な取り組みを追加して,現在進めている.

図01

III.具体的な取り組み
女性教授の割合30%:本学の教授全体に占める女性教授の割合については,平成28年5月の時点で22.2%(26/117)であったが,令和3年3月に30.1%(41/136)を達成した.令和4年3月では28.1%(39/139)である.
セミナー開催:リーダーシップセミナー・キャリアセミナー・研究力向上セミナーを開催している.またピアラーニングとして,女性教授や女性准教授・講師から直接キャリア形成過程の体験談を聞き,キャリア形成について話し合う場を提供している.
研究支援員制度:妊娠・出産・介護などのライフイベントにより研究活動の継続や研究時間の確保が困難となった研究者や高いレベルの研究を行っている将来有望な女性研究者,常勤の女性研究者を配偶者にもつ(育児または介護中の)男性研究者を支援するもので,「研究支援員」の配置により,研究の継続と躍進を図っている.
ファミリーサポート:子育て支援を受けたい人と子育て支援をしたい人が会員登録をし,コーディネーターが調整をする会員制の相互援助活動である.

IV.女性外科医活躍のために
女性外科医が継続して活躍するためには,上記取り組みのほか,外科医のロールモデルが重要である.ピアラーニングなどでの質疑応答を通じて,自分に合うキャリア形成の道筋を見つけることが出来る.また女子中高生や医学生への進路選択支援を実施している.サイエンスカフェや学生講義を通じて,外科医を含めた幅広い働き方があることを伝えている.

V.おわりに
個々により勤務環境や家庭環境,キャリア形成の考えも異なる.女性外科医がその時々に応じた支援を得ることで,活躍し続ける環境が整いつつある.

 
利益相反:なし

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文献
1) 東京女子医科大学:令和3(2021)年度 女性医療人キャリア形成センター報告書,Annual Report2021.

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