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日外会誌. 124(4): 308, 2023

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会員へのメッセージ

国際委員会の現況

日本外科学会国際委員長,京都大学心臓血管外科 

湊谷 謙司



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未だにコロナ禍が続いている.芸能人やジャーナリストを始め有名人も続々亡くなった初期の頃に比べれば,重症例が大幅に減少しコロナ禍はやや鎮静してきたかとも思えるが,この原稿を執筆時の現在,第八波が猛威を振るっている.ウィズコロナというかけ声は良いが,未だに現実は追いついていないようにも感じる.コロナ禍は学術集会での交流を大きく損なった.国内学会のみならず国際学会もHybrid開催が増加しデジタル時代の新たな学会の方向性が示されたとも考えられるが,少なくとも旧世代の私には直接近距離で議論や会話を楽しめる現地開催が圧倒的に嬉しい.  国際交流にも大きな影響があり,最近では中国からの日本への入国にはPCR検査が必須としたことが日本人へのビザ発給を中止すると言う報復を受けて話題になったが,例えば昨年まではPCR検査が不要であったインドも,直前のPCR検査陰性を示すことができなければ現時点では外国人は入国が出来ない.そして多くの国で少なくとも海外渡航にはワクチン接種証明が必須とされている.
本学会と英国外科学会(Royal College of Surgeons of England)との協定で始まったInternational Surgical Training Program(ISTP)は,英語運用能力などの資格を満たした本学会員の希望者が英国人と同様の待遇のもと英国で臨床研修できる制度である.残念ながらこのコロナ禍のために,ISTPのホームページでの説明では現在新たな応募は受け付けないと明示されている.すでに応募していた英国での臨床研修に必要なハイレベルの英語能力を証明した本外科学会会員の俊英達も,ISTPの活動が低下していることも相俟って受け入れ先の施設が決まらない状態が長く続いている.
昨年9月に国際委員長として学会出張の途中でロンドンにある英国外科学会を訪れ,コロナ禍の収束がみえてきたことを踏まえてISTPの再開と本学会会員の受け入れを交渉し依頼してきた.英国外科学会の担当役員であり副理事長のMitchell先生は耳鼻咽喉科の医師であり,英国外科学会には耳鼻咽喉科が含まれていることをその時初めて知った.英国側は善処を確約してくれたものの,未だに臨床研修を開始できない状況は大きく変わっていないのは忸怩たる思いである.将来を担う本学会の俊英のためにも日英の外科学交流のためにも,引き続きこの事業を何とかして推進すべく事務局と共に策を練っている毎日である.

 
利益相反:なし

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