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日外会誌. 122(6): 586, 2021

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会員へのメッセージ

医療安全管理委員会について

日本外科学会医療安全管理委員長,昭和大学医学部外科学講座乳腺外科 

中村 清吾



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2019年4月より,前任の戸井雅和先生(京都大学大学院医学研究科外科学講座乳腺外科学教授)から,日本外科学会医療安全管理委員会委員長を引き継ぎました.
日本外科学会は,(一社)医療安全調査機構を構成する社員学会の一つであり,日本外科学会理事長の森正樹先生は,同機構の副理事長を務められています.また,同機構には,(1)総合調査委員会(2)再発防止委員会があり,(1)は,個別の案件ごとに設置される個別調査部会でまとめられたセンター調査報告書の内容を審議し,最終報告書を取りまとめています.私自身は,日本外科学会の代表として,月1回開催される総合調査委員会の委員として出席しています.
また,個別調査部会の部会長,或いは部会員の推薦を依頼された際,COIを勘案して,日本外科学会の代議員の方の中より,適切と思われる方に,就任の打診をさせていただいています.この場を借りて,部会長,部会員の労をお取りいただいた日本外科学会会員諸兄に深く感謝申し上げます.
医療安全調査機構は,平成27年の医療法改正に伴い,医療事故調査制度が制定され,その受け皿として発足しました.「死亡原因を調査して死亡事例から学び,より安全な医療を目指す」という根本理念に基づいて活動しています.患者の高齢化,日々進歩し複雑化する医療の中で起こる医療事故の原因には,医療が有する不確実性や,ヒューマンエラーを防ぐシステム構築の難しさがあり,各事例に対して最終報告書を出すためには,かなりの時間と労力を要しますが,医療機関やご遺族の皆様のご協力を得つつ,中立的な立場に立ち,業務の効率化が徐々に進んでおります.最終報告書が出されるまでの時間がかかりすぎるというご批判があるのは,もっともなことだと思いますが,委員会に参加すると,だいぶん改善されてきていることも実感します.どうぞ温かい目で,引き続きご支援のほどお願い申し上げます.
本委員会の,もう一つの大きな仕事としては,平成28年6月の医療法施行規則の改正に基づく,高難度の医療技術に該当する術式のリストを作成するということがあります.
すなわち,関連学会(日本胸部外科学会/日本血管外科学会/日本呼吸器外科学会/日本消化器外科学会/日本小児外科学会/日本心臓血管外科学会/日本乳癌学会/日本内分泌外科学会)の協力の基,高難度新規医療技術に該当する術式のリストを作成し,日本外科学会ホームページに公開しています.本年度は,改定の年に当たり,各学会のご協力の元,全81術式を高難度新規医療技術に該当する術式として,ホームページにも掲載させていただきました.
また,2019年2月より,日本外科学会では,専門医共通講習/領域講習をE-learningでも行っています.特に,共通講習のうちの「医療安全講習」は,日本医療安全調査機構の協力の下,同機構の「医療事故の再発防止に向けた提言」についての講習となっています.
医療安全に関しては,各病院でも,様々な取り組みがなされているものと思いますが,日本外科学会,そして医療安全調査機構の様々な活動にも,引き続きよろしくご指導ご鞭撻のほどお願い申し上げます.

 
利益相反:なし

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