[書誌情報] [全文HTML] [全文PDF] (489KB) [全文PDFのみ会員限定]

日外会誌. 122(1): 56, 2021

項目選択

会員のための企画

「再生医療の現況と今後の展望」によせて

国立成育医療研究センター 臓器・運動器病態外科部,外科

小林 完



<< 前の論文へ次の論文へ >>

 
近年,再生医療分野の躍進には目を見張るものがある.再生医療は各種疾患や怪我により機能不全となった組織や臓器を再生する医療であり,病苦に悩む患者にとっては大いなる福音となり得る可能性を秘めている.最近の1例として2020年10月の報道によると,網膜色素変性症患者に対して同種(他人)由来のiPS細胞から培養された視細胞を移植する世界初の手術が本邦で実施された.他にも実用化を目指して各地で臨床研究や治験が行われている.
本企画では本邦における再生医療研究の第一人者の一人であられる,国立成育医療研究センター研究所再生医療センターの阿久津英憲先生に「再生医療の現況と今後の展望」というタイトルで御執筆いただいた.再生医療に使用する細胞の基本特性の解説から始まり,法制度,わが国の現況,さらには国際的な潮流や再生医療の今後の挑戦までを含めて詳細に解説いただいた.発展華々しい分野ではあるが,同時に現在の課題についても解説いただいており,本邦の現在の立ち位置が十分に理解される内容となっている.
現在,われわれ外科医が日常診療で再生医療を扱うというレベルまではまだ至っていない.しかしながら,外科分野でも先天性疾患をはじめとして,再生医療が既存治療との融合により新たな治療法として確立される未来が近く到来するかもしれない.阿久津先生も本文で言及されていらっしゃるが,その未来を夢想して若い臨床医が再生医学研究へ挑戦することが期待される.この企画が何らかのきっかけになれば望外の喜びである.

 
利益相反:なし

このページのトップへ戻る


PDFを閲覧するためには Adobe Reader が必要です。