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日外会誌. 127(4): 415-421, 2026


特集

Emergency General Surgery(緊急一般外科)の現状と展望

7.Emergency General Surgery の社会的な役割

島根大学 医学部Acute Care Surgery講座

比良 英司

内容要旨
Emergency General Surgery(EGS)は消化管穿孔・腸管虚血・急性虫垂炎・腸閉塞など非外傷性緊急外科疾患を包括的に担う診療領域であり,同一術式の待機手術と比較して死亡・合併症リスクが著しく高く,高齢化社会において社会的負荷はさらに増大している.その価値を正しく評価し体制を持続させるには医療の質の「見える化」が不可欠であり,英国のNELA(National Emergency Laparotomy Audit)は10年間で30日死亡率を11.7%から8.1%へ低下させ年間約1,150人の死亡回避をもたらした.この質向上を支えるのがEGS専従のAcute Care Surgery(ACS)モデルであり在院日数・合併症・待機時間・死亡率の改善に加え2024年施行の医師の働き方改革への対応にも有効である.一方フレイルを有する高齢EGS患者の増加は予後・社会復帰・医療費に深刻な影響を及ぼしており周術期フレイル評価と退院後支援は医療経済的観点からも急務である.欧米でACS体制の整備が進む一方わが国では2009年に日本ACS研究会が発足され(2013年に日本ACS学会に名称変更),2016年には本邦初のACS講座の設置,2019年にはACS領域認定外科医制度が発足するなど萌芽がみられる.NCD(National Clinical Database)へのEGS専用質指標の組み込みと地域ネットワーク整備を軸とした「日本型EGS」の構築が今後の重要課題である.

キーワード
Emergency General Surgery, Acute Care Surgery, 医療の質向上, フレイル, 働き方改革


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