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日外会誌. 126(3): 267-274, 2025


特集

進行胃癌治療の現状

7.進行胃癌治療におけるバイオマーカーと薬剤選択

群馬大学 総合外科講座消化管外科学分野

木村 明春 , 佐野 彰彦 , 酒井 真 , 佐伯 浩司

内容要旨
進行再発胃癌に対する医療は大きく変化している.これまで使用されてきた抗HER2抗体薬トラスツズマブ,免疫チェックポイント阻害薬ニボルマブに加え,抗Claudin18.2抗体薬ゾルベツキシマブが承認され,免疫チェックポイント阻害薬であるペンブロリズマブも一次治療に適応拡大となった.化学療法の治療選択肢が拡大している状況において,患者に適切な治療を提供するために,バイオマーカー検査が重要となっている.日本胃癌学会より「切除不能進行・再発胃癌バイオマーカー検査の手引き」が公開され,HER2,PD-L1,MSI/MMR,CLDN18の四つのバイオマーカー検査を一次治療の前に実施することが推奨されている.一方で施設の状況等により四つ全ての検査を実施できない場合もあり,各バイオマーカーの位置づけや治療方針決定への影響度等を考慮して,検査を計画する必要がある.また,複数のバイオマーカーが陽性の場合の治療選択については,今後の臨床試験を重ねてデータを蓄積する必要がある.今後,進行再発胃癌治療におけるバイオマーカーの利用により,個別化医療が促進されていくことが予想されるが,最適な治療選択を確立していくためには臨床・基礎研究のさらなる発展が必須である.

キーワード
進行胃癌, バイオマーカー, 薬剤選択, 治療成績, 個別化治療


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