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日外会誌. 126(3): 261-266, 2025
特集
進行胃癌治療の現状
6.胃癌補助療法
内容要旨
切除可能な局所進行胃癌に対する治療の中心が外科手術であることに異論の余地はない.さらなる治療成績向上を目指して,拡大手術の意義を検証することを目的とした複数の臨床試験が行われてきたが,予防的大動脈周囲リンパ節郭清,体上部進行胃癌に対する脾摘,大網網嚢切除などの有効性を示すことはできなかった.一方で,周術期化学療法の有効性は複数の試験で検証されており,本邦においては,ACTS-GC試験の結果,局所進行胃癌に対する標準治療はD2リンパ節郭清を伴う胃切除+術後1年間のS-1療法となった.
欧州においては,術前補助化学療法が周術期化学療法開発の中心であり,ACTS-GC試験とほぼ同時期に行われたMAGIC試験の結果,ECF療法を用いた術前+術後補助化学療法が標準治療となった.現在はFLOT4試験の結果をうけ,周術期レジメンとしてFLOT療法が広く用いられている.
本邦においても,治療開発は術後補助化学療法から術前補助化学療法にシフトしつつあり,Bulky N/大動脈リンパ節転移陽性例などの一部の高度局所進行胃癌に対しては,その有効性が示された.現在はcStage Ⅲを対象として術前SOX療法の優越性を検証することを目的とした第Ⅲ相試験(JCOG1509)が行われている.また,食道胃接合部腺癌に対しても,術前3剤併用化学療法(DOS or FLOT)療法の優越性を検証することを目的とした第Ⅲ相試験(JCOG2203)が行われており,これらの試験の結果が待たれる.
キーワード
局所進行胃癌, 周術期化学療法, 術前補助化学療法, 術後補助化学療法
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