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日外会誌. 126(3): 254-260, 2025


特集

進行胃癌治療の現状

5.胃癌に対するconversion surgeryの現状と展望

1) 岐阜大学大学院医学系研究科 臨床解剖開発学講座
2) 岐阜大学大学院医学系研究科 消化器外科・小児外科
3) 岐阜大学医学部附属病院 消化器外科

安福 至1) , 坂本 倫太郎2) , 鷹羽 律紀2) , 藤林 勢世2) , 近石 和花菜2) , 深田 真宏2) , 浅井 竜一2) , 佐藤 悠太2) , 田島 ジェシー雄2) , 木山 茂3) , 田中 善宏2) , 村瀬 勝俊3) , 松橋 延壽2)

内容要旨
近年cStage ⅣB胃癌患者で化学療法が奏効した場合に,治癒を含めた長期生存を期待し根治手術を適応するconversion surgeryに関する報告が増加している.CONVO-GC-1研究はconversion surgeryに関する最大規模の国際多施設共同観察研究であり,全1,206名のcStage ⅣB胃癌患者に対する化学療法後手術において,R0切除が行われた場合の全生存期間中央値は56.6カ月と良好な治療成績が報告された.
一方conversion surgeryのエビデンスにおける課題として,conversion surgeryと化学療法の継続による治療成績を直接比較したランダム化比較試験がないことが問題とされている.cStage ⅣBであっても化学療法が奏効した場合には良好な長期成績が報告されており,conversion surgeryを行わなくとも長期生存した可能性が否定できないため,conversion surgeryが化学療法の継続より有効な治療であるかどうかはランダム化比較試験で検証すべき課題とされている.
このような背景のもと,JCOG胃がんグループでは現在conversion surgeryの有効性を検証するランダム化比較第Ⅲ相試験(JCOG2301試験)が実施されており,その結果の公表が待たれる.

キーワード
胃癌, 遠隔転移, cStage ⅣB, 化学療法, conversion surgery


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