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日外会誌. 126(1): 16-21, 2025
特集
少子化時代のこどもの外科医療のあり方
3.少子化時代における小児外科のあり方-こども病院小児外科と大学外科学教室内の小児外科の交流-
内容要旨
日本の出生数は近年著しく減少しており,2023年には約72万人にまで減少した.そのため,大都市圏を除いて新生児手術症例数は非常に少なくなっている.それでも新生児外科症例の死亡率は1970年代の約50%から2018年には4.4%に低下し,現在まで周産期医療の向上が見て取れる.しかし,少子化に歯止めがかからない中で2009年度より医師養成数が増加したことも影響し,小児外科医の数は2006年では661人であったが2022年では849人と増加している.そのため,若手小児外科医が経験する手術症例数が激減しており,今後小児外科医療の維持・向上をどうするのかといった課題に直面している.
少子化時代におけるこども病院の小児外科が若手小児外科医に対する教育的な役割は,十分な経験を提供するだけではなく,こども病院に集まってきた他の小児外科医達と連携して生じる人事交流によるブレイクスルーが生じる場であると考える.また,大学外科学講座内の小児外科では,成人領域における最新の外科治療を小児外科に応用するなど,新しい技術を小児外科医療に取り込める場である.立場の違うこども病院と大学病院内の小児外科医が,流動して人事交流することは,新しいブレイクスルーが生じるのに重要で,若手小児外科医は広い視野を持って経験を積んで欲しい.
キーワード
少子化, 若手小児外科医, 新生児手術, 教育, 人事交流
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