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日外会誌. 125(5): 430-434, 2024


特集

乳癌治療における手術の省略について考える

7.腋窩手術のDe-escalation

千葉県がんセンター 乳腺外科

羽山 晶子 , 中村 力也

内容要旨
全身薬物療法や放射線治療が存在しないハルステッドの時代に外科医はメスのみで乳癌の治療に臨んでいた.そのため拡大手術が長い間,標準的治療とされた.さまざまな臨床試験の結果,腋窩リンパ節郭清(ALND)の不要な症例が存在することが明らかになりつつある.現時点では,臨床的に明らかな腋窩リンパ節転移陽性症例は,レベルⅡまでの腋窩リンパ節郭清が標準術式である.臨床的リンパ節転移陰性症例に対してはセンチネルリンパ節生検(SNB)が標準術式である.さらにSNB陽性症例に対するALNDの省略を検証したACOSOG Z0011試験の結果,SNB陽性症例でも乳房部分切除術でSLNのマクロ転移個数が2個までの場合,ALNDを省略が広く普及している.ACOSOG Z0011が報告されて以来,腋窩手術のDe-Escalationを検討した臨床試験が急速に計画されている.特に,臨床的リンパ節転移陽性症例に対する術前化学療法症例に対するSNBの妥当性がいくつか報告され,2023年にはcN0症例に対するSNBの省略(SOUND trial)の安全性が報告された.現在も臨床的リンパ節転移陽性症例に対する腋窩縮小手術の臨床試験が進行中である.

キーワード
腋窩手術, 郭清省略, SNB省略, TAS, 術前治療

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