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日外会誌. 124(3): 233-238, 2023


特集

がん診療における層別化医療の現状と今後の展望

2.食道がんにおける層別化医療の現状と今後の展望

群馬大学大学院 消化管外科

佐伯 浩司 , 宗田 真 , 酒井 真 , 佐野 彰彦

内容要旨
食道がん医療はここ数年で大きな変革が起きてきた.実臨床において手術は低侵襲化の方向へと舵が切られ,術前化学療法や術後補助療法の新たなエビデンスが創出されたことにより周術期治療を含めた集学的治療が進歩した.また,進行・再発がんに対する薬物療法においては免疫チェックポイント阻害剤がキードラッグの一つとなり大きな転機を迎えた.一方,層別化医療に関しては,臨床研究を中心にさまざまな検討がなされてきた.特に,手術前の栄養学的評価が術後の転帰に密接に関わることが多く報告され,その臨床応用が期待されている.また,さまざまな治療モダリティーを使い分けるためには,有望な治療効果予測因子の開発が必要である.組織や血液を用いたバイオマーカー研究に加え,日常診療で行われる血液検査や画像検査を用いた新たな評価法の開発も重要な視点と言える.今後,食道がん診療の新たな展開のためには,層別化医療の発展が重要なポイントである.そのためにも,基礎と臨床がタッグを組んで精力的に努力を重ねるべきである.

キーワード
集学的治療, 免疫療法, 診療ガイドライン, 栄養評価, バイオマーカー


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