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日外会誌. 122(6): 618-624, 2021


特集

コロナとの対峙 外科診療の変容とポストコロナへ向けて

6.外科診療への影響 2)手術

がん研究会有明病院 消化器外科

渡邊 雅之 , 佐野 武

内容要旨
COVID-19のpandemicは外科診療に大きな影響を与えた.COVID-19患者の病床確保,重症患者によるICU病床の占拠,感染対策のための個人用防護具の供給不足に伴い,消化器外科,心臓血管外科,臓器移植を含む多くの領域で手術の中止や延期が起こった.世界の多くの国々では超過死亡数の増加が報告され,COVID-19の直接的な影響とともに,医療供給体制の制限が超過死亡増加の原因となったと推測される.Pandemic下においては医療資源の適正配分が求められ,外科手術のトリアージが迫られた.トリアージは医療資源のひっ迫度,疾病の重篤度,緊急度,必要性,患者の容態などを総合的に考慮し,主治医を中心にした医療チームで協議して判断される必要がある.特にがん手術のトリアージに関しては,多職種による集学的治療チームによるアプローチが必要であり,予後予測に基づいた適切な判断が求められる.COVID-19患者に対する緊急手術は,他の患者や医療従事者に対する感染伝搬への十分な対策のもとに施行することが求められる.SARS-CoV-2感染者に対する手術は術後肺炎や死亡のリスクが高いことが明らかとなった.待機手術患者においては,術後死亡のリスクを軽減するため,可能であればSARS-CoV-2感染の診断から4~7週おいての手術が推奨される.がんの診断の遅れは今後長期にわたって治療成績の悪化につながる可能性がある.COVID-19の外科手術への影響については未だ不明な部分も多く,大規模データベースの解析を含めた情報の分析と公開が急務である.

キーワード
COVID-19, 外科手術, トリアージ, スクリーニング


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