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日外会誌. 118(3): 270-275, 2017


特集

外科医に求められる倫理

2.外科医にとっての倫理感

杏林大学名誉教授,善仁会小山記念病院顧問 

呉屋 朝幸

内容要旨
医学・医療の分野でいくつかの明らかな倫理違反案件が認められて厳しい評価を受けている.社会的な信頼を得るためには倫理意識の向上・プロフェッショナリズムが求められる.組織的に対応するには院内倫理委員会・倫理コンサルテーションの設置運用が求められる.実際には倫理課題の抽出は不十分で,課題の適切な掘り起こしのためには院内倫理教育が求められている.
患者の権利の尊重は医療倫理の中心的な概念であり,インフォームド・コンセントは医療の根幹をなすものである.パターナリズムにならぬよう対応する.一方,単なる選択肢の提示は患者に負担を押しつけることになる.Shared Decision Makingの考え方に基づいて複数の職種による継続的な患者の意思決定支援体制が求められる.医師・患者間のコミュニケーション能力の向上のために研修会への参加が推奨される.

キーワード
臨床倫理, 院内倫理委員会, 倫理コンサルテーション, インフォームド・コンセント, Shared Decision Making


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