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日外会誌. 108(6): 333-338, 2007


特集

新生児外科治療の現況と展望

6.消化管穿孔

1) 聖マリアンナ医科大学 小児外科
2) 聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院 

北川 博昭1) , 脇坂 宗親1) , 古田 繁行1) , 川瀬 弘一2) , 長江 秀樹2)

I.内容要旨
新生児期に消化管穿孔をきたす原疾患の頻度は時代とともに変遷し,特発性胃破裂に代わり,壊死性腸炎(neonatal necrotizing enterocolitis;NEC)が最多となった.また,手術対象となる患児の体重も1,000g未満の超低出生体重児が半数以上を占め,他の新生児外科疾患と比べ生存率の改善傾向が顕著でない理由の一つとなっている.NECの外科的治療は壊死腸管の切除を基本とする.最も重症である全小腸壊死症例の死亡率は95%に達する.そこで腹腔ドレナージを先行しsecond-look operationを行って,可能な限り腸管を温存する方法も行われるが,敗血症,心不全などが克服できず死亡する症例が多く,外科が関与した症例についても著明な予後の改善には至っていない.また超低出生体重児の長期予後調査では,消化管穿孔生存例は重度脳障害を合併することが多いこともわかった.現在,母乳の早期投与やプロバイオティクスの投与などで新生児期のNEC発症を予防する戦略が講じられ,少しずつではあるが治療効果は上がってきている.

キーワード
新生児消化管穿孔, 壊死性腸炎, 胃破裂


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