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日外会誌. 107(4): 177-181, 2006


特集

膵癌治療―最近の動向

5集学的治療を前提とした標準術式

横浜市立大学大学院 消化器病態外科

藤井 義郎 , 上田 倫夫 , 吉田 謙一 , 松尾 憲一 , 武田 和永 , 森岡 大介 , 田中 邦哉 , 遠藤 格 , 渡会 伸治 , 嶋田 紘

I.内容要旨
最近,膵癌に対する集学的治療の重要性が認識されると共に拡大手術の限界も明らかになった.このようなことを背景に本年3月に膵癌に対する診療ガイドラインが出版され,切除術の標準化が求められるようになっている.教室では2003年を境に大動脈周囲リンパ節(16a2b1)郭清を中止しD2郭清に変更したが,前期と後期の生存率の比較で有意差は認めなかった.しかし上腸間膜動脈神経叢の半周切除と門脈合併切除により局所癌遺残度R0が得られた症例に長期生存を認めることも明らかになった.
集学的治療を前提とした場合,「R0を得るためのD2郭清,上腸間膜動脈神経叢の半周切除と門脈合併切除を伴う膵切除」が根治性と患者のQOLから考えて長期生存を可能にする妥当な術式と考えられたのでこれを標準術式として提唱したい.

キーワード
膵癌, 手術, 標準治療


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