[書誌情報] [全文HTML] [全文PDF] (37KB) [会員限定]

日外会誌. 106(5): 344-348, 2005


特集

心血管疾患合併症例の非心臓手術における評価と管理

6.末梢動脈疾患とくに閉塞性動脈硬化症における心臓併存症の評価と管理

東京医科歯科大学 血管・応用外科学

井上 芳徳 , 岩井 武尚

I.内容要旨
末梢動脈疾患に対する血管手術では周術期心合併症の発生率が高く,また術死の主因となっている.ACC/AHAガイドラインでは血管手術は頸動脈内膜摘除術(carotid endarterectomy:CEA)を除いて高リスク手術に分類され,活動度低下例が多いため,結果としてほぼ全例で非侵襲検査が必要となる.Revised cardiac risk index(CRI)では1点以上の症例は全体の約3/4を占め,虚血性心疾患(ischemic heart disease:IHD)の有病率と周術期発生率は各々2.5%,1.3%と低値である.したがって全体の約1/4を占めるrevised CRI≧2点に対してのみ非侵襲検査を施行し,高リスクであれば冠動脈造影(CAG)適応とするので十分であろう.周術期IHDの診断方法は費用対効果の観点から心電図変化で十分とされているが,高リスクや心電図異常を示した症例ではCK-MBやトロポニン-I,-T測定が推奨されている.術前からのβブロッカーやαアゴニスト投与は周術期IHD発生を抑制するのに有効である.しかしながら十分な評価と管理下でも一定の頻度で心筋梗塞は発生する.

キーワード
末梢動脈疾患, revised cardiac risk index, ACC/AHAガイドライン, 臨床予測因子, βブロッカー


<< 前の論文へ次の論文へ >>

PDFを閲覧するためには Adobe Reader が必要です。