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日外会誌. 106(5): 349-351, 2005


特集

心血管疾患合併症例の非心臓手術における評価と管理

7.不整脈疾患合併例

広島大学 病態制御医科学講座外科学

末田 泰二郎

I.内容要旨
周術期の心合併症のうち不整脈はもっとも頻度の高い疾患である.周術期の不整脈の多くは良性であるが,稀に循環破綻を来たす不整脈も見られ早急な対処が必要である.不整脈は,頻脈性と徐脈性に大別できるが,いずれも高度の頻脈や徐脈になると循環破綻を来たす.術前に不整脈を認めなかった患者が周術期に心室性期外収縮や心室頻拍を起こすのは,多くは虚血性心疾患を合併した症例である.高血圧性心疾患や弁膜症を伴った患者では心房細動や上室頻拍を起こす.基礎心疾患がなくても,低酸素血症,循環血液量低下,電解質異常(低カリウム血症,低マグネシウム血症),アシドーシス,低体温があると不整脈を起こす.
一方,手術を予定されている患者の中には,すでにペースメーカーや植え込み型除細動器(ICD)が植え込まれている患者がいる.これらの患者については,電気メス使用による電磁干渉によってペーシング不全や,ICDでは頻脈の認知異常によるshock deliveryが起こる危険があり,設定変更やバックアップ体制が必要となる.

キーワード
基礎心疾患, 心室性期外収縮, 房室ブロック, 心房細動, 電磁干渉


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