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日外会誌. 105(5): 325-328, 2004


特集

外科医のアイデンティティーをより高める

3.わが国における医療資源の利用と外科医療の評価・配分

北里大学名誉教授 

比企 能樹

I.内容要旨
世界的に見てわが国の医療費の配分は妥当なものかどうか?特に国民総生産(GDP)に対する医療費の国家予算はどうなっているのか?2002年のOECD-Health Dataによれば,医療制度の国際的評価はわが国が上位であるにも拘らず対GDP比の医療費の占める割合が,わが国は先進国G7の中で7.6%と,下位から2番目の状態である.しかもその医療費の配分は殆どが外科の場合手術の材料費,器具の費用に当てられておりドクターズフィーは殆ど無いに等しい.この状況を改善しなければわが国の外科は衰微の一途を辿ることが懸念され,早急な改善策が求められる.日本外科学会の有志が声をかけて30余年前に発足した外保連の活動が今や非常に活発なものとなり,医療費の配分つまり診療報酬のあり方について科学的,学問的な見地に立って検討を行っている.その根拠から掘り起こして手術・処置・生体検査の各部門の具体的な診療報酬は如何にあるべきかについて外保連試案がまとめられた.ここでは現行の医療保険制度の中で最も欠けている診療行為を行う際の技術料・診療の難易度を考慮すべきことを強調している.この基本的問題を無視して行政がいくら医療改革といっても無意味で,何時までたっても本質的な解決には程遠い.真の医療改革の成就のために行った外保連の積極的な行動が,今ようやく行政当局でみとめられようとしている.

キーワード
医療資源, 医療技術, 保健医療材料, 診断群分類包括評価, 手術施設基準


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