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日外会誌. 105(5): 329-333, 2004


特集

外科医のアイデンティティーをより高める

4.外科医療の有効性 クリティカルな検証

北海道大学大学院 腫瘍外科

加藤 紘之

I.内容要旨
外科治療の有効性を検証するためにはRandomized Controlled Trialに基づくデータの解析結果を数多くレビューすることが必要である.本稿では各臓器癌別にRCTの現況を概説したが,手術手技の困難性の差異,手技の画一化のかかえる問題経験度,learning curve,症例選択のバイアス,研究費の不足など数多くの問題点が浮かび上がってきた.特に我が国ではインフォームドコンセントの立ち遅れから,RCTに対する理解度,協力度が高くなく外科医自身がTrialに対する強い抵抗感を持っている.しかし,我々外科医は日常の外科治療を施行するにあたってエビデンスに基づいた治療法を選択しているだろうかと自問すべきである.なぜなら手術は患者の身体に傷をつけ,時に生命予後など患者に決定的な運命をもたらすことになるからである.
一方,RCTは十分な準備のもとに施行されなければなんの意味もなく,誤った情報を提供することさえある.日常的にRCTの必要性と重要性を訴え,環境を整備し,総力をあげてレベルの高いエビデンスを作り上げ,医療に貢献したいものである.

キーワード
Surgical treatment, EBM, RCT, Levels of Evidence


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