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日外会誌. 105(2): 200-205, 2004


特集

外科領域における栄養管理

3.本邦における栄養管理の現状
-2001年全国栄養療法アンケート調査より-

日本静脈経腸栄養学会 栄養療法サーベイ委員会 

井上 善文 , 吉田 祥吾 , 大村 健二 , 池田 健一郎 , 田平 洋一 , 福島 亮治 , 大柳 治正 , 小越 章平

I.内容要旨
栄養管理法は著しい発展を遂げ,適正使用をすれば極めて有効な栄養管理が実施できるようになっている.しかし一方では,TPNの濫用,カテーテル留置に関連した感染症を始めとして,様々な問題も生じている.日本静脈経腸栄養学会の栄養療法サーベイ委員会で,全国アンケート調査を実施した.10標榜科の医師に対して調査したが,外科領域の回収率は高く,栄養管理に対する関心は高いと考えられた.欧米ではIVHという用語は高カロリー輸液の意味で用いられていないが,本邦ではほとんどの医師が『IVH』を使用しており,カテーテル自体や挿入手技自体をIVHという用語で誤用していることも明らかとなった.静脈栄養法と経腸栄養法の選択については,胸部外科と外科において静脈栄養法を第一選択とする比率が高い傾向が見られた.消化器外科術後管理におけるTPN施行率をみても,この傾向は明らかであった.腹腔鏡下手術におけるTPN施行率も開腹手術と同等であり,栄養管理法自体には大きな変化は現れていないことがうかがわれた.しかし,食道癌術後の経腸栄養法施行率が50%以上となっていたことは,一つの進歩ではないかと考えられた.内科,脳神経外科などでは経腸栄養法を第一選択とする比率が高かったが,これはPEGの普及に伴うものと思われた.栄養管理についての勉強方法は『大学の講義等で習った』との回答がわずか18.3%であり,これが本邦の栄養管理における最も重大な問題ではないかと考えられた.

キーワード
IVH, TPN, 経腸栄養法, PEG, 栄養療法サーベイ


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