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日外会誌. 105(2): 196-199, 2004


特集

外科領域における栄養管理

2.臨床栄養学の進歩と将来

近畿大学 医学部外科学教室

岩崎 拓也 , 大柳 治正

I.内容要旨
栄養療法の考え方は経直腸投与として古くよりあったが,臨床栄養学はDudrickらの高カロリー輸液法,Greensteinらのchemically defined dietの開発から始まったと思われる.臨床栄養管理法は基本的な治療手段の一つとして短期間に広く受け入れられ,その過程を通して,代謝栄養学の進歩に大きく寄与した.すなわちmicronutrientsの必要性,全身の代謝や免疫能における腸管機能の重要性,腎不全や肝不全などの一部病態の重症化や改善に対するアミノ酸や脂質成分の関与などが明らかになり,病態別栄養管理法の分野も開けてきた.肝疾患,腎疾患や代謝疾患以外に癌組織の代謝や癌性悪液質等における種々の病態生理が解明されるにつれて,栄養基質による疾病の治療は今後益々発展すると思わせる.さらに最近ではアルギニン(或いはグルタミン)やn-3系不飽和脂肪酸および核酸成分を含んだ経腸栄養剤が作られ,immunonutritionとして,感染症発生率の減少,在院日数の短縮などが報告されている.Immunonutritionも作用機序や至適組成等,検討項目は多いが,将来の発展が期待される分野である.
一方,各種栄養管理法選択に際しては,医師の生涯教育やチーム医療である栄養サポートチームの普及を通じて,現時点の栄養アセスメントや腸管機能の検査を厳格に行うことが求められているが,将来的には遺伝子多型等も考慮したオーダーメイド治療へ進むべきだろう.

キーワード
Clinical nutrition, nutritional support team(NST), total nutritional terapy(TNT), immunonotrition, tailor-made nutritional support


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